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其の百拾六 カイワリかシマアジの幼魚か?の巻…石廊崎(大瀬・牛が背)
涙

魚を知る人ほど〈カイワリ〉の評価が高い。味の良さはアジの仲間でも最上の部類で、大型はシマアジよりも上とも言われるのだが……唯一の難点は、〈知名度〉の低さなのだ。
 
 
 インターネットの〈魚攻略ガイド〉で見ると、「アジの仲間では最も体高があり、方のよいものが釣れると、知らない人は「シマアジだっ!!」と大騒ぎする。岩礁帯より砂泥地に多く、虫類や甲殻類、大型のものは小魚まで食べている。味の方はすこぶる良く、刺身や塩焼きは絶品で、認知度においてシマアジに一歩譲るものの、食味は勝るとも劣らないと言っていいだろう。専門に狙う乗合船は少ないものの小坪(神奈川)や館山(千葉)からは出ている。最大40cmくらいまで大きくなり、引きが強いので取り込むまでハラハラさせられる好敵手だ」とある。
「しゃ、きた!」と、手応えよろしく釣り上げて……おいおい、こいつはもしかしたら〈シマアジ〉じゃないのかね?
 ヒラアジ、ギンガメアジ、カッポレ、ナンヨウカイワリなど、これらの魚は姿かたちがよく似ていて紛らわしいのだが、どうせなら大きくて高級魚の子供だと信じたいのが釣り人の心情というものだ。
 両方を並べて比較すれば、体高が低く肉厚なのがシマアジで、体高が高く体が短いのがカイワリである。またシマアジは体側に黄色縦帯があるものがいるが、カイワリにはなく、不明瞭な暗色横帯がある。なによりもシマアジは成長すると一メートル以上になり、カイワリはせいぜい三、四十センチくらいにしかならない。
 カイワリは相模湾や静岡の沼津あたりで、〈角アジ〉と呼んだりもする。漢字で〈貝割〉の字を使い、その由来は二枚貝を左右に開いた形や、発芽したばかりの草木の双葉を貝割と言い、尾の形が双葉の形に似ていることから命名された。

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「どちらだと思います、浜野さん?」
「カイワレだよ、そいつは」
 ほとんど見てもいないくせに、よく言うよ…とはいえ、体高の高さからするとカイワレっぽいのだが、「尾ビレの手前にゼイゴみたいなやつもあるし、シマアジの子供に見えるんだがなぁ?」
 せいぜい二十センチかそこらの大きさだから、シマアジでもカイワレでも大差ないとは思いつつも、気分的に「シマアジであって欲しい!」という気持ちに変わりはない。
 なんといってもシマアジは、そのパワーと唇の切れやすさで、釣り上げるのが難しい上に、大きなものは一メートル以上になり、その名も〈オオカミ〉と呼ばれるのだ。
「カイワリなら持ち帰りOKでも、シマアジならリリースだろよ、魚さん?」
 おおっと。言うに事欠いて、なんとも実も蓋もない言い方をするではないか、浜野さんよ!
「いや。そういうことではなくて、シマアジだと捌くときの心構えが違うわけで」
「そんなのを釣ったりするから悩むんだよ、とっとと逃がしちゃえば?」
 うぉーッ、やっぱり相談する相手を間違えたようだ。
 とはいえ、松原商店街でも滅多にお目にかかることがないカイワリだが、美味な割りに値段が安いという嬉しい魚でもある。


●カイワリ
第二背鰭と臀鰭に幅の広い黒色縦帯が走る。沿岸の浅所から水深200m暗いまでの砂泥域の底層に生息する。底性動物を食べる。稚魚・幼魚はイボクラゲなどの大型クラゲについていることがある。15~25cm。本州中・南部以南、インド、太平洋域、イースター島。
●シマアジ
若魚では生時体側中央に黄色縦帯があるが、成長と共に薄れる。背鰭と臀鰭の最後の軟条は、直前の軟条からやや離れている。沿岸の岩礁やその周辺の砂泥底付近を泳ぐ。小魚やエビ類を好むが、口を伸張させ砂底を掘る行動から、ゴカイ類やヨコエビ類などの底性動物を食べると推定されている。最高級食用魚で、養殖も盛ん。30~100cm。岩手件以南、東部太平洋を除く世界の暖海。
(出典=以上、週刊釣りサンデー「新さかな大図鑑」より)



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(青山漁業狂動組合・横浜支部 調理長※)
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  ※店主は、未だ調理師免許がないために〈料理長〉とは名乗れません。


其の百拾六 カイワリかシマアジの幼魚か?の巻…石廊崎(大瀬・牛が背)
by mitsu-akiw | 2008-10-31 15:05 | 本編<釣魚食善>
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