人気ブログランキング | 話題のタグを見る



其の弐百拾七 エド山口さんの〈釣果〉の巻…大瀬(倉の下)
喜

有名人だからといって、それだけで優先的に〈磯〉へ渡すようなら許さんぞ……と思いつつも、スポーツ新聞社の〈釣り欄〉のみならず釣り雑誌の〈連載〉を持つなど、なかなかの腕前らしいのだ。
 

 エド山口といえば、たしか「ビジー・フォー」というコミックバンドでギターを弾いている、モト冬樹の兄貴のはず。本人も演奏するらしいのだが、沢渡の話では「磯釣りが趣味で、隣の入間や吉田などの一級磯を総なめらしい」となると、それなら仕方ないか。
 しかも〈前泊〉をしてるというのであれば、「優先的に希望した磯へ渡れる」のが釣り宿のルールでもある。
 渡船・民宿の『倉の下』は、八畳間の五部屋で、すべての部屋から海と日の出が眺められる。『大倉丸』という名の船は、五月から九月は午前四時から五時、それ以外の時期は五時半からの六時くらいの出船で、大根、青島、鵜の根、牛ヶ瀬、オン根、上人、黒根と、いずれの磯も人気があるのだが、特に風や波の影響を受けやすい〈黒根〉とイシダイやイシガキダイのほかモロコなどの大物のポイントでもある〈鵜の根〉は別格だった。
 エド山口と連れのふたりが渡った〈上人〉と呼ぶ磯は、メジナ、ブダイ、イシダイ、イシガキダイ、モロコ、さらに小ぶりの〈上人・小根〉もまた、メジナやブダイのほかアジやイサキが狙える。
 そこで沢渡が選んだ〈牛ヶ瀬〉もまた似たり寄ったりなのだが、エド山口たる釣り師の結果が気になるのは、「そこそこの釣果を得た立場としては当然だろう!」と、早くも船宿へ戻って比べてみたいと思う店主だった。


                             写真不明→ ※
                                     photo by SGATCHI


(続きを読む・・・
 ↓



 沢渡は釣り雑誌などを定期的に買うほか、スポーツ新聞の釣り欄などにも丁寧に目を通していたから、磯で何度も確認したのは、「瀬際の、浅ダナで狙う、というのがエド流」で、なによりも驚きなのは、「ミチイトが二・五号で、ハリスが三号」というのだ。
 しかも、サルカンで繋いだ「ハリスの長さは一メートル程度で、錘はガン玉の四号」と、一般的にはミチイトよりもハリスが細いというのが常識である。
 そして「ウキ止めに、シモリ玉、ウキと、中通し錘が0.2号か0.3号にクッションゴムで、グレ針の六号」というのは、これまたかなり大きめだが、「一般常識と違う仕掛けとはいえ、釣ってナンボなんだから文句を言うつもりはないけどね」と言いつつも、小ぶりとはいえ本命のメジナ二匹に、まずまずのブダイにカサゴ、それとカワハギ、ウマヅラ、ベラと、数にして十三匹と、釣果はまずまずだった。
 やがて磯上がりの時間になって、迎えにきた船頭に「エド山口さんの釣果はどんな感じ?」と訊ねたのだが、どうやら我々を下ろしてから迎えにいくらしい。
 やがて船宿で一服しているところへ戻ったエド山口のクーラーを開けて、船頭が釣果を確認してるところを、沢渡と一緒にのぞいたのだ。
 どれどれ?……(おっ。種類と数的には、似たり寄ったりだぞ!)と、瞬間的に思いはしたものの、目を奪ったのは四十センチ近いメジナと、さらにその下にいた大きなブダイだった……あちゃ、負けた!?
 なるほど。さすがに名前だけではなさそうだ……なんといっても、磯の違いはあるにせよ結果を出してナンボの釣りで、その釣果に難癖をつけるつもりは毛頭ないどころか……「なんだかんだいっても、同じような条件であれだけ釣るんだからたいしたもんだね、エド山口ってのは!」と、負け惜しみだけ勝っていたかも。


●エド山口(えど やまぐち)
本名・武東郁夫。1948年7月9日東京築地生まれ。'68年にキスの投げ釣りから磯に転向、クロダイ・メジナを経て大物釣りへ。小笠原15回を筆頭に、日本・海外の離島を釣り歩く。のち、原点のウキフカセ釣りに立ち戻り、メジナ釣りの分野において「短ハリス・重めのオモリ」という独自の釣法を確率。また、特異な「根の上」「根際」「夏のノリメジナ」などの各釣法を編み出す。フィッシングプロデューサーとして『世界を釣りたい』(全国16局15分もの)他『スカパーTV』において『Oh!エド釣り日記』(60分もの)『釣りニュース』などのレギュラーを持つ。著書・ビデオ・執筆多数。
(出典=マルキュー釣り餌の本「エド山口の釣り伝道師が征く!」より抜粋)



by :

photo :
title design :
blog design :
adviser :
ブログ協力 :
その他 :
店主 魚畑耕海
(青山漁業狂動組合・横浜支部 調理長※)
アンソレ・アダムス・スガッチ
♪メンソーレ・ゴヤ・エイジ
negi4
シングル・モルト・キタカタ フユカツ
yuukorinn
「単なる飲み仲間」と称する外野一同


  ※店主は、未だ調理師免許がないために〈料理長〉とは名乗れません。


其の弐百拾七 エド山口さんの〈釣果〉の巻…石廊崎(倉の下)
by mitsu-akiw | 2009-03-28 11:42 | 本編<釣魚食善>
<< 其の参百七拾六 魚介類のパスタ... 店主よもやま話 雑感  三月 其の参 >>